TPPとデフレ

平成日本経済の根本問題とは、何でしょうか。
価格の下落と国民所得の低下をもたらす、「デフレ」といって過言ではないでしょう。

政府も、脱デフレに向けて、「日本再生戦略」の原案を示しました(下記の記事参照)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120711-00000005-fsi-bus_all

現民主党政権も、脱デフレが重要な経済目標だと認識しているようです。

さて、一方で政府は、今年8月中にTPPへの正式参加することを決定しました。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120710/plc12071001370002-n1.htm

TPPに関しては、その是非を巡って、昨年以来、国論を二分する事態となっています。
ここでは、是非は問いません。
ただ、問題は「脱デフレとTPP参加」の整合性です。

TPP反対派の急先鋒として知られる、京都大学大学院の中野剛志准教授は、TPPに参加した際の懸念を次のように指摘しています。

TPPによる貿易自由化により、日本の農業が被害をこうむるのではないかと懸念されています。しかし、アメリカからの安価な農産物の流入によって、打撃をこうむるのは農家だけではありません。食料品の物価が下落することによってデフレが進み、経済全体が打撃をこうむるのです。/貿易自由化によるデフレの促進は、次のような経路で起こります。まず、安い製品が輸入されると、競合する国産品が淘汰され、国内雇用が失われます。例えば、国産米や国産牛が安価なアメリカ産米やアメリカ産牛との競争で駆逐され、コメ農家や畜産農家の多くが失業します。さらに、例えば牛丼がより安価になれば、牛丼と競合する他の外食産業は人件費のカットで対抗するため、雇用を削減せざるを得なくなります。農家や食品関連産業で失業が増えれば、労働市場全体が供給過剰になりますから、実質賃金が一段と下がってしまいます。こうして、デフレが悪化するのです≫(『TPP亡国論』集英社新書、126頁)。

これは、かなり単純化したものだとは思います。
しかし、関税撤廃による安い外国産商品の国内流入→対抗して、国内産業の価格競争→労働者の賃金低下→デフレの悪化、という流れはよく理解できます。
TPP参加をして、本当にデフレが脱却できるのでしょうか。

中野氏は、≪要は、政策の順番の問題なのです。ますデフレ脱却が先決であり、農業の生産性の向上はその後です。後者を先にすると、デフレがひどくなるからです。言いかえれば、農業の効率化のための改革を実現するためにも、とにもかくにも、デフレ脱却を最優先としなければならないのです≫とも言います(同書、132-133頁)。

脱デフレを目標に掲げつつ、TPPへ参加することの整合性を政府は説明すべきではないでしょうか。
(金井康夫事務所より)

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