森林環境税

昨日、報告させていただきました群馬県議会特別委員会の中で、森林環境税特別委員会設置が予定されています。森林環境税につきましては、沼田市議会で平成19年に議決をしています。その時の、やり取りを抜粋しました。
若干長いので、暇なときにでも一読してください。

群馬県森林環境税の創設を求める意見書(案)
近年、森林のもつ地球環境保護、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保持など「森林 の公益的機能」に対する国民の関心と期待は大きくなってきている。   また、地球温暖化防止にかかる京都議定書の目標達成計画では、我が国に課せられたCO 2の削減目標6%のうち3.8%を森林の吸収により確保するとしている。  しかしながら、森林を守り育ててきた群馬県の山村・林業は、木材価格の低迷や後継者不 足などにより、林業関係者のみでは森林の保育・管理を行っていくことが極めて困難な状況 となり、必要な手入れがされることなく放置されている森林が急増している。   そのため、森林と共に暮らし、森林を熟知する行政としての市町村が立ち上がらなければ ならないが、森林を守っていくべき山村市町村は、過疎化と少子高齢化に悩み、加えて今日 の危機的な財政状況から、今後とも継続的に森林を守る役割を担うことはもはや困難である。   このような状況において、群馬県の緑豊かな森林は、生命の源である水を育み、大気を浄 化するとともに、災害から県民を守る共有の財産としての森林を維持、保全していくために は、山村地域の住民や自治体のみならず、群馬県民が一体となって「森林・山村を育て、水 や空気や動物を守っていく」という県民全体の認識と森林を次世代に引き継いでいくという ことが重要である。   よって群馬県においては、森林の持つ公益的機能に対する新税として「群馬県森林環境 税」を早急に創設し、森林を有する山村地域の市町村が森林の維持、育成のための財源を確 保できるようにすることを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成19年9月  日
群馬県知事 大 沢 正 明   様
沼田市議会議長   金 井 康 夫  以上であります。 ◇議長(金井康夫君)  説明が終わりました。   これより質疑に入ります。 (「進行」と呼ぶ者あり) ◇議長(金井康夫君)  質疑を終結いたします。  これより討論に入ります。   なお、討論は反対、賛成の順に願います。20番。 〔20番 大東宣之君登壇〕 ◇20番(大東宣之君) 私は、ただいま上程されている議案第87号 群馬県森林環境税 の創設を求める意見書案について、反対の立場より討論いたします。  地球温暖化の振興により、異常気象、深刻な環境破壊、海面上昇など人類のみならず地球 の存亡にかかわる深刻な問題となっており、地球温暖化に大きな影響のあるCO2の削減に はすべての国が取り組まなければならない課題であり、その中でも、日本の果たすべき役割 には大きなものがあります。  地球温暖化防止にかかわる京都議定書の目標達成で日本はCO2の削減目標は6パーセン トで、そのうち3.8パーセントを森林による吸収により確保するとしています。日本は、 世界の中でCO2の排出量は4番目で、CO2の削減目標6パーセント達成させることは、 次世代に地球を手渡す上で大きな役割と責任を担っています。  日本は、もともと緑豊かな山々に囲まれ、自然との共生を果たしてきましたが、戦後の復 興政策により杉などが植林され、高度経済成長政策により山々は見捨てられ、その後も木材 の輸入拡大により林業は衰退し、農業の切り捨てと合わせ中山間地域は国策によって荒れる に任せる状態となり、山を守る人たちをこの国は見捨ててしまい、京都議定書が提起された にもかかわらず、ときの小泉首相は構造改革などと言って地方切り捨て政策をさらに進め、 自らが世界に約束したCO2削減目標達成に向け、中山間地域や山々の再生に何ら取り組ま ないばかりか、高齢、過疎化に苦闘する中山間地域の地方をさらに見捨てようとするばかり です。  いまの沼田市の現状では、確かに山々は荒れ、クマやサル、イノシシ、シカなどの農作物 への被害が年々増大するなど深刻な事態に直面し、山の再生は急がなくてはならない大きな 課題です。  こうした問題を解決するには、その根本原因に目を向け、そこを改善する取り組みこそ必 要です。京都議定書で世界に約束したCO2削減目標達成に向け、中山間地域や山々の再生 に何ら取り組もうとしないばかりか、中山間地域やそこの人たちを切り捨てようとするいま の自民公明党政権にすがりつき、期待することをやめ、CO2削減目標達成に向け、中山間 地域や山々の再生に本気で取り組むことをまず政府に果たさせることこそ沼田市議会の役割 です。  構造改革の名のもとに地方が切り捨てられ、とりわけ中山間地域は再生さえ危ぶまれる状 態となり、そこで暮らす人たちには高齢者への課税強化や定率減税の廃止など、増税が押し 寄せ、介護保険料の引き上げなどサービスの低下と負担増大など社会保障制度の切り捨て、 正規雇用の減少による不安定雇用の広がりなど貧困と格差は広がるばかりです。  こうしたとき、さらに森林の維持、育成するといった美名のもとであっても、市民、県民 に新たな負担を求めることは、議会と納得、指示を得られるものではありません。すでにこ のような税金の徴収を実施しているところを見ると、県民税に1,000円を上乗せすると いったようなやり方で行われているようでありますが、一律な徴収であり、減免制度もなく、 負担能力に応じた負担となっておらず、定率減税の廃止により住民税が大幅な増税となった 中、認めることはできません。  いま沼田市議会が、森林の維持、育成、中山間地域においても、安定的に再生産ができる よう、林業や地域の再生を願うなら、国がその責任と役割を果たすことこそ求めるべきです。  以上の見解を表明し、反対討論とします。 ◇議長(金井康夫君) 他に。8番。 〔8番 井上正文君登壇〕 ◇8番(井上正文君) ただいま上程されました群馬県森林環境税の創設を求める意見書案 に、賛成の立場から討論を行います。  今、森林では悲痛な叫びが私たち人間に発せられています。森の中に入ってみれば、倒木 が目立ち、台風や大雨、長雨の後には必ずあちこちの山々で土砂が氾濫し、あちこちの木々 を押し流してしまいます。  さて、昭和40年代に入ってから安い外国産の木材が輸入されてきて、国産材の低迷が長 く続いています。  現在では日本で使用されている木材の約80パーセントは外国産材となっています。それ に伴い、日本の山々では木々の手入れが行きとどかなくなり、本来山の持つ国土の保全、水 資源のかん養などの機能が働かなくなり、荒れた山々になってしまいました。  しかし、森林の持つ色々な機能は、人間が安心して生活していくためには、なくてはなら ない安全装置でもあるのです。  このなくてはならない安全装置が未来永劫正しく機能するように私たち人間は森林の大切 さ、重要さをもう一度認識し、そのために何をなすべきかを考え行動するときに来ています。 群馬県でも平成19年度森林管理費として約17億円予算化しています。  また、今年度から5年間に毎年7,000ヘクタールの森林の間伐を行う予定だそうです。  群馬の森林にとって、とても重要なときに、群馬の森林を守る森林環境税を創設し、森林 の織りなすいろいろな働きを少しでも助け、人間が安心して生活できる森林郷土になるよう 願い、賛成討論といたします。 ◇議長(金井康夫君) 他に。16番。 〔16番 大島崇行君登壇〕 ◇16番(大島崇行君) 私は、本意見書案に賛成の立場で意見を申し上げます。  日本は、森林大国であり、国土の70パーセントを森林が占めている。群馬県も67パー セントを占めている。  また、本市も、国有林を含めた森林原野が87パーセントを占めている。これほど緑の豊 かな国、地域はないと思います。最近特に重視されている森の公益的機能は、地球環境保護、 国土保全、水源の涵養、自然環境の保全など、森林が果たす役割はだれもが理解していると ころですが、森林を守る側の地域の林業は、木材の低迷や高齢化が進み、後継者不足により 必要な手入れがされないこと。放置されている森林が増えているのが現状でございます。京 都議定書に基づき、県は森林整備の方針をまとめ、群馬の森林づくりを策定しました。  さて、本意見書案では、森林を適正に管理していくために、住民や自治体が一緒になって 森林、山林を育て、水や空気を守っていく認識を高めていくことが重要であり、森林の持つ 公益的機能に対する新税として、森林環境税を早急に創設し、森林を有する山村地域の市町 村の森林保全育成のために財政負担を軽減しようとするものであります。  この森林環境税は、基本的に増税になるという意見もありますが、法定外目的税を地方分 権の中で導入することもできるようになり、環境整備のために費用負担ということは全国で も議論されるようになりました。総務省によれば、全国で23県は導入しております。今後、 20都道府県も検討を進めている状況であります。森林県である群馬県が検討を進めていな いのはおかしいと思います。  他県の事例を見ますと、環境目的の税の新設については、半数以上の人が負担を受けると いうアンケートを踏まえ新たな課税を行っています。我々の回りの水や空気や、動植物は人 間が作るものではありません。関東の水源県である群馬県が、特にこの沼田市が、それらの 問題について真剣に議論をしなければならないものと思われます。  誰でも税負担がなければよいと思いますが、事の本質を先送りすればいいものではありま せん。税の問題は、議論することによって住民一人一人の関心を高めるという効果が大きい のです。賛否がいろいろあったとしても、まずは議論することで、森林がどんな状況に置か れているか広く認識するきっかけとなります。  なお、本意見書案に反対の共産党、特に環境問題等々には取り組んでご理解していると思
いますが、地球温暖化の自然との共生、環境問題と我々大人が責任を持たなければなりませ ん。  森林の荒廃が進みつつある中にあって、新たな方策が求められており、21世紀を担う子 どもたち、これから生まれてくる子どもたちのためにも、森林環境税の創設を強く要望し、 賛成討論といたします。 ◇議長(金井康夫君) 他に。 (「進行」と呼ぶ者あり) ◇議長(金井康夫君)  討論を終結いたします。   これより議案第87号 群馬県森林環境税の創設を求める意見書案についてを採決いたし ます。   本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。 (賛 成 者 起 立) ◇議長(金井康夫君)  起立多数であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。 ──────────────◇──────────────

最後まで読んで頂きありがとうございます。
最近ニュースで話題となっている、ホルムアルデヒドの問題も水源の重要さを再認識する必要があると思います。
山間部では、森林や水源を守るにも、財源や人口も大変厳しい状況が続いています。群馬県の自然環境の重要性を、県議会で議論してまいりたいと思います。

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